戦略資産としての「金」

今回の金融フォローアップ研修では、「金(GOLD)」がテーマでした。
金は、長い歴史の中で一度も無価値になったことがなく、資産保全の観点から重要な役割を担ってきました。
ことわざにもあるように、「有事のときは金」。
これは、まさにその通りだと感じます。
■有事の金とは?
戦争や災害、経済危機などの非常事態(有事)に備えて保有する金のことを指します。
金はこうした局面で価値を保ちやすく、資産防衛の手段として利用されてきました。
実際、リーマンショックやコロナショックなどの危機時には、
株式市場が大きく下落した一方で、金の価格は上昇しました。
こうした動きを背景に、金は世界株式などとは異なる値動きをする資産として、注目を集めています。
■各国の中央銀行と金の保有
各国の中央銀行も、外貨準備の安全性と分散を確保するために、金を通貨の一つとして保有しています。
外貨準備高に占める金の保有比率を見てみると、欧米諸国は約70%前後と高いのに対し、
日本は約5%程度と低い水準です。
日本の金保有率が低い理由としては、
経済政策の方針・金融市場の特徴・円の信用度の高さなどが挙げられます。
欧米諸国は通貨の信認や金融政策の一環として金を多く保有する傾向があるのに対し、
日本は流動性を重視し、外貨準備の多くを米国債や米ドル建て資産で運用しています。
これは、歴史的な政策の違いや、資産運用の考え方の違いによるものと考えられます。
■戦略資産としての「金」
今後、経済的な不安や政治的な混乱が起こった際、金の価値が保たれることは間違いありません。
有事の際には価格が上昇し、またインフレ対策の手段としても有効であることが分かっています。
日本人の私達は、金は「今から買って儲かるの?」という視点になりがちですが、目先の利益を追うのではなく、
長期的な資産保全の視点を持ち、金をポートフォリオの一部に組み入れていくことが、重要な投資戦略の一つといえるでしょう。
皆さんは、金をどのように考えますか?