コラム

Column

最低賃金の引上げで考えること

福井県では、2025年10月8日から最低賃金が時給1,053円に引き上げられます。
これは現行の984円から69円の増加、約7%アップという県内でも異例の改定です。

「また人件費の負担が増える」と感じる経営者も多いのではないでしょうか。
一方で、従業員にとっては生活を守る大切な基盤であり、地域経済にも波及します。

では、最低賃金引き上げが経営に与える影響を考えてみましょう。

人件費の上昇は、利益を圧迫し、価格転嫁の難しさを伴います。
一方で、従業員のモチベーションや定着率の面では、賃金水準の改善はプラス効果ともいえます。
また、競合とのバランスにおいても、人材確保の観点から最低賃金は採用戦略を左右する
重要な指標になります。

私たちFPの役割は「お金の使い方の設計」です。
三大支出(住居費・教育費・老後資金)のバランスを考え、私的年金を準備することもその一つ。
不安の緩和は、行動し、準備し、自ら変化を受け入れることでしか実現できません。

経営者の視点でも同じことが言えます。
人件費は単なるコスト(支出)ではなく「人材という資産」への投資と捉えること。
そして、今後は「給与は毎年上げていく」という前提で経営を組み立てる力が求められています。
だからこそ、事業について短期・長期の両面から考える時間を持ち、
トライ&エラーのスピードを上げていくことが重要です。

もちろん、お金がなくなれば経営は続きません。
最低賃金引き上げに対応するための資金繰り計画を立てたり、
キャリアアップ助成金や業務改善助成金などの公的支援を上手に活用したりすることも必要です。

「人件費を抑える」だけでなく、「人材を育てて成果を上げる」ための仕組みを持てていますか?

最低賃金引き上げは、経営の在り方を見直す良いきっかけであると、私は考えます。

日本のみならず世界でも最低賃金の上昇は避けられない流れです。
だからこそ、「お金を守る」「お金を活かす」を考えることが、
経営者にとっても従業員にとっても重要なのです。

最後に、今後、変わらないものはありません。
変化を受け入れる力を身に付け、その在り方を持って事業も人生も進めていく覚悟が必要な時代ですね。

(Writer CFP 蒲幸恵)

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