定年後は「余生」ではなく「第二の現役時代」へ

新日本保険新聞を読んでいたら、
日本は、高齢者人口(65歳以上)が29.4%。
そのうち75歳以上の後期高齢者が17.2%を占めるとありました。
さらに、65歳以上の就業率は25.2%。
つまり、4人に1人のシニアが今も現役で働いている計算になります。
これらの数字は、社会構造が「高齢化」から「超高齢・就労社会」へと
変わりつつあることを示していると思いました。
定年後の「第二の人生」は、「余生」ではなくなる時代。
働くことが生活の支えであると同時に、
生きがいや社会とのつながりを保つ手段にもなっています。
私自身、父親世代を見ていても、そのように感じます。
定年を迎えたあと、再雇用やパート勤務など同じ職場で働き続けるという選択肢があります。
企業側は人手不足の中「ぜひ働き続けてほしい」。
一方で、働く側も「まだできる」「もう少し貢献したい」。
お互いの想いがマッチすれば、その選択もとても良いことだと思います。
しかし一方で、定年を機に「再設計」という発想を持つ方も今後は増えていくかもしれません。
人手が欲しい企業側は、より従業員のライフプランに寄り添った個別対応も必要になると考えます。
従業員側としては生き方が多様化し、定年を迎えても心身ともに元気。
昔よりも情報もチャンスも多く、「新しい人生を自分でデザインする」時代に入っています。
仕事や肩書きから少し離れたとき、
「これからどんな時間を過ごしたいか」
「お金や健康をどう整えていくか」
を考えることが、次のステージを安心して生きるために大切です。
■ 再設計の3つのポイント
① 働き方をデザインする
体力・スキル・人とのつながりを生かしながら、
「自分のペースで働く」ことを考えていく。
仕事は収入だけでなく、生きがいをもたらしてくれる場でもあります。
② お金の流れを整える
退職金・年金・就労収入のバランスを整理し、
今後の10年、20年を見通したキャッシュフローを描くことが大切です。
定年後は「使う力」や「守る力」、「残す力」が問われる時期に入ります。
③ 暮らし方を描く
家族との時間、趣味、地域との関わりなど、
日々の暮らしの中に「自分らしい喜び」をどう組み込むか。
その答えが、ライフプランの中心になります。
定年後のライフプランは、「終わりの設計」ではなく「次のスタートの設計」です。
60歳や65歳という節目を、新しい可能性を描くチャンスとしてみてはどうでしょうか?
働き方も、お金の使い方も、暮らし方もこれまでの延長ではなく、
「これからの自分らしさ」で決めていく第二の現役時代なのかもしれません。
そんな「再設計」を支えることも、私たちFPの役割だと考えています。
(Writer CFP 蒲幸恵)




