
ご相談事例
ご相談内容
【法人の建物の下が代表者の個人名義の土地です。
法人が買い取りたい場合に注意する点を教えてください。】
(福井市/70代/経営者)
ご相談の前提
賃貸契約で個人から法人に貸していましたが、様々な理由から法人への売却を検討されていました。
個別相談でアドバイスしたこと
「法人が代表者個人名義の土地を買い取る」場合は、注意点があり整理してお伝えしました。
- 取引価格(時価での売買が大前提)
時価で売買する必要があります。
不動産鑑定士や不動産業者の査定を参考にして「時価相当額」で取引が必要です。
(※査定料金として20~30万円必要となります。)
時価より高い価格で売却すると、 法人から代表者への「役員賞与」とみなされ法人税課税や損金不算入。
時価より安い価格 で売却すると、 代表者から法人への「寄附」とされ、法人側は損金算入できません。
ですので、時価相当額での売却が重要です。
- 議事録・契約書の整備
法人の代表者の個人の土地のため、利益相反取引にあたるため会社法上、
株主総会または取締役会の承認決議が必要です。
売買契約書をきちんと作成し、登記変更(所有権移転登記)を行いましょう。 - 税務上の影響
<代表者個人側>
譲渡所得税が課税されます。売却時の翌年に確定申告が必要です。
「譲渡所得=売却代金-(取得費+譲渡費用)」で計算。
所有期間により、長期(5年超)でしたし、購入金額はわかっているとのことでしたので、
取得価格として費用になりますとお伝えしています。
※先祖代々の土地などで取得価格がわからない場合は、売却額の5%が取得費となります。
<法人側>
法人の資産計上(土地)
減価償却は土地は不可ですが、登録免許税や不動産取得税などがかかります。
※将来売却時には法人税がかかります。
ちなみに不動産取得時の諸費用は、
・登録免許税(所有権移転登記)
・不動産取得税(固定資産評価額の3%)
・司法書士・仲介に入る不動産会社や宅建士への手数料
売却後は、固定資産税の負担が法人に移ることになります。
- 資金の流れ
法人が代表者に対して代金を支払うことになるため、法人の資金繰りに影響。
銀行借入れで購入資金を調達する場合は、金融機関の承認や担保設定も必要。
法人より分割し、少しづつ譲渡代金を支払う契約にすることも可能です。
最後に今後の経営者の相続について
現状ですと、法人に貸している代表者の相続発生時に相続財産となります。
法人名義に移すことで、相続財産の圧縮や承継のシンプル化につながります。
また、結果的に譲渡資金は個人に入るので、法人に貸していた土地は譲渡代金として
現預金と変わっただけで、代表者の相続時に譲渡代金が残っていれば相続財産になります。
タイミングや土地の時価の査定が重要だとお伝えしました。
一度、会社も含め検討してみますとお返事をいただきました。
お客様の声
