ご相談事例
ご相談内容
【会社を継いだ後の自社の株式はどうしたらよいか?】
数年前に、父(初代経営者)から経営を任されました。
会社の株の名義は先代(父)のままです。会社も好調なこともあり
自社株を自分名義に移したいと考えていますが、
どんな方法があるのか相談させてください。
(福井市/40代/経営者)
個別相談会での内容
簡易ヒアリング
一般的なことをお知りになりたいとのことでした。
概要をお聞きしながら、事業承継の場合、『経営の承継』と『財産承継』に
わかれることをご理解いただきました。
私たちが資産のご相談をお受けしていますのは、主に財産の承継です。
この課題は日々の経営とは違って、優先順位が低く後回しになる課題
でもあることをお伝えしました。
財産承継の課題は好調な会社ほど早めに手を打つ必要性があり
株価の上昇の前に対策ができること。
また事前に経営リスクを回避することができることをお伝えしました。
後継者は、経営承継と財産承継を同時に考え対処していくことの重要性を
ご理解いただきました。
なぜ自社株が問題になるのか?
非上場会社、主に中小企業の自社の株式のことを「自社株」といいます。
会社を立ち上げる時に、創業者は出資をし株式を持ちます。
中小企業では、経営者(一族)= 株主になるのが現状多いです。
自社株の何が問題になるのか?
好調な会社ほど、会社の業績や利益が積み上がり自社株は高くなり
何十倍の価値になるからです。
そのことが、最終的に株主の相続税の納税資金問題や親族間の財産分与など
会社の経営権にもつながる課題に発展してしまうことがあるからです。
つまり、結果的に「相続時の分け方・納税資金」と「経営の議決権」に
関わることが問題になりやすいのです。
「相続」と「経営」が絡みあうことでご自身に関するリスクは
何なのかを早めに把握し、経営に集中することをお勧めします。
自社株問題は「相続」「経営」に絡む重要課題なのです。
自社株を移す方法 一般的な方法
今回のご相談のように自社株を移す方法の解説です。
・贈与とは、生前に財産を無償で渡すこと。
・相続とは、亡くなってから財産を渡すこと。
・譲渡とは、資産を売却すること。
生きているうちに自社株を移す一般的な方法の贈与、譲渡は次の①~④のような方法があります。
①自社株贈与
自社株を創業者が無償で後継者に渡すことをいいます。
一般的な贈与の手法は2つの方法があります。
暦年課税(110万円まで非課税)・相続時精算課税(特別控除2500万円)の選択制。
相続税と密接に関係しますので注意が必要です。
②自社株譲渡
創業者の株を後継者が買取り、後継者がお金を支払うこと。
後継者は買取資金の準備が必要となり、
資金力が必要な方法です。
③事業承継税制
自社株に係る税金を納税猶予することです。
まずは贈与税そして相続税の税金を猶予する制度。
免除ではなく納税猶予です。
様々な条件や期限があり、また長期間管理が必要となる制度であるため
注意が必要です。
④ホールディングス
株を持つ資産保有会社を設立し、現在の自社株持ち分を譲渡
する方法です。
一族に株式を集める方法としては有効ですが、譲渡時の株式は
時価となり、相続や贈与より通常は高い株価になります。
自社株を生前に移すといっても①~④のように税法が絡む様々な方法を
検討しないといけません。
また組み合わせて使うこともあります。
まずは一般的な自社株を移す方法と税務をご理解いただき、
どの方法が後継者、家族、会社にとってベストか見極め
自社株を移すことを判断することが重要です。
創業者の想い、時間軸、全体資産、税金、相続人との関係を
考慮しながら進めていきましょう。
上記の1hの個別相談を終えて、具体的なコンサルティングに
入っていく流れとなりました。
~個別相談とは~
個別に面談し、お金にまつわる様々な悩みや現在の状態や目的等をお聞きした上で、将来を見据えた解決策や解決の見通しをアドバイスさせていただく場です。規模の大小にかかわらず、お気軽にご相談ください。(有料)
お客様の声
自分では簡単に考えていましたが、前提として自社の株式がいくらになっているかわかっていないことに気づきました。
移動をすべきかどうかは、相続税全体のこともあることですし、事業がうまくいけばいくほど株価があがることで、後々大変になることが想像できました。
贈与や譲渡など選択すべきことははあり、どの方法が自分たちに合うのか検討し、早めに実行していこうという気持ちになりました。